http://www.nikkei.com/article/DGXZZO75366460X00C14A8000039/
2016年、北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)は、太平洋クロマグロの資源量は、漁獲のない自然状態で推定される頭数と比べて2.6%まで減っているとの資源調査結果を発表した。
https://swfsc.noaa.gov/uploadedFiles/Divisions/FRD/HMS/PBF_SWFSC_StockAssmt_FAQs_update_Apr2016.pdf
2.6%!!!
人口で言ったら、1万人いた町にいつの間にか260人しかいなくなってた、ということ。それが地球上に残っている太平洋クロマグロの現状だ。
野生生物は自然状態で常に数が減ったり増えたりしているけれど、太平洋クロマグロは乱獲が大きな要因だということがわかっている。
誰のために獲られているのか、というと、悲しいかな、日本人が大きな消費者なのだ。
世界でとられたマグロのうち、生のマグロの80%以上が日本で消費されている。
ピュー慈善財団がまとめているこのページの下の方に、Tuna Consumption Globallyという項目がある。 ツナ缶はアメリカが最大の消費者だが、生はそれの比較にならないほど日本が消費している。
http://www.pewtrusts.org/en/research-and-analysis/fact-sheets/2012/06/21/global-tuna-fishing
世界中で和食やSUSHIが流行っている21世紀でも、日本人が最大のマグロの敵であるのはゆるぎない事実。
それではどうすればいいのか、といえば・・・
禁漁、または大胆な漁獲の制限しかない。
2015年のこの記事によれば、危機的状況であった大西洋クロマグロは、ヨーロッパの関係諸国の厳しい漁獲制限のおかげで6年間で推定3倍の資源量にまで回復させている。
http://www.j-cast.com/tv/2015/04/17233312.html?p=all
今年の新しい記事でも、やはりこの通り。
◆マグロは絶滅する? もっとも効果的なのは禁漁
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12169-28581/
このような世界のアドバイスをもとに、日本は国として、そのマグロを未来へ残す努力、世界と分かち合う努力を十分にしてきているだろうか。
2016年12月に開催されたWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)では、実は日本は参加国&地域から冷たい視線と大きな批判を受けたようであるが、日本の大手メディアでは全くこのことは報じられていない。
とても詳しく書かれているのは、オブザーバーとして委員会を傍聴されていた真田康弘氏 (早稲田大学地域・地域間研究機構客員次席研究員)のこの記事。
"マグロ減らし国の名誉傷つける水産庁「二枚舌外交」
「科学を操作するな」諸外国の怒りを買った日本
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8650
少し前の記事ではあるが、クロマグロは日本近海に産卵にやってくるそうだが、その母マグロも一網打尽に巻き網で獲ってしまっているのが日本のマグロ漁らしい。
東京海洋大学准教授の勝川俊雄氏のこの記事。
"絶滅危惧のクロマグロ 産卵場の漁獲規制を急げ"今年が資源回復のラストチャンス
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4896
つまりまとめれば、日本人はマグロを殺す(つまり、食べる)ことが大好きだけれど、国としてはマグロのための対策はとらない、これからもするつもりはない、また危機的な状況を市民に伝える努力もしない、という方針だ、ということらしい。
そんな水産庁(国)とは対照的に、マグロの危機を目の当たりにしている壱岐の漁師さんたちは、みずからクロマグロの繁殖期を禁漁期として、マグロの資源回復のために立ち上がった。
http://newsphere.jp/national/20160127-1/
それは英ガーディアン紙でも取り上げられている。
https://www.theguardian.com/environment/2016/jan/22/japans-david-vs-goliath-battle-to-preserve-pacific-bluefin-tuna
もし最大の消費者である日本人が、水産庁同様に現実を見つめようともせず、このまま呑気にマグロを食べ続ければ、あと数年でマグロとは「永遠に」さようならということになる。子や孫へ、なんて言っている場合じゃない。
いい加減、マグロのためにも、私たち自身のためにも、何かしなければならないのでは。
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